2020年11月1日日曜日

「クローバー」の正体

クローバー - 植物の一属・シャジクソウ属の総称。一般的にはシロツメクサを指す。 ― Wikipedia「クローバー」 

 クローバーは日常の中でもそれなりに身近な植物であろう。3つ、または4つの葉を持ち、特に4つ葉のものはその希少性から幸福の象徴としてよく図案などでモチーフとされる。

"クローバー イラスト"でのGoogle検索結果

身体障害者用標識の図案も「四葉マーク」「クローバーマーク」などと呼ばれたりする。

Wikipedia「身体障害者用標識」より

先日実家からの仕送りに使われたダンボールにも"4つ葉"のマークが使われていた。

世田谷自然食品 [1] のダンボール

ところで「クローバー」の和名はシロツメクサである。緩衝材として詰め物にされていたことと小さく白い花がその名の由来である。そのへんの道草にポンポン生えている身近な植物である。

Wikipedia「シロツメクサ」より
この植物をよく見てみると上に挙げた「クローバー」のイラストとは葉の形がまるで違うとこがわかる。3つ葉か4つ葉かはさておき、イラストでは殆どがハート型の葉が書かれるが「本物」は先端が丸まった涙滴型である。
一方、イラストに描かれるハート型の葉を持つ植物も結構そのへんに生えている。先日大学の建物の脇にも繁殖していた。

大学に繁茂していたクローバー(偽)
筆者は小学校の時分は「シロツメクサ」と「クローバー」は別モノであって、クローバーはこのハート型の葉の植物を指すのだと思いこんでいた。明らかに巷のイラストとシロツメクサとは特徴が異なっていたから無理もないね。
しかしWikipediaでも明確にクローバーとはシロツメクサ(を始めとするシャクジソウ属)を指すと言っている。ならばこのクローバー(偽)は何物なのか。

結論を言えばこいつはカタバミである。あ~名前は聞いたことある、それがこれだったのか、とググって納得した。
調べようと思えば一瞬でわかることなのでご存知の方も多いかもしれない [2]。ここまでお付き合いいただきありがとうございます。クローバーもカタバミもだいたい外を歩いているときに見かけるのでなかなか調べる機会がなかったんですよね。


 さて、シロツメクサは マメ目マメ科マメ亜科シャジクソウ属であるのに対しカタバミはカタバミ目カタバミ科カタバミ属とかなり別物である。なぜこれだけ混同されているのだろうか。少し考えてみたい。

1つはアイルランドなどでの「シャムロック」という語の存在である。これももともとはクローバーを指す言葉だったのが、キリスト教の三位一体の概念と結びつき3つ葉の草全般を指して信仰の象徴とされているようである。

もう1つはカタバミの「幸運の象徴たる4つ葉のクローバー」という概念における都合の良さである。カタバミも突然変異により4つ葉の個体を生ずることがあるし、ハート型の葉の形から本家クローバーよりも幸運感マシマシである。
さらにカタバミの近縁種にモンカタバミ [3]というものがあり、これは種として4つ葉であることから観賞用に4つ葉のクローバーの代替品種として販売されている。確定で出るのは強い。希少価値もなにもあったものではなくなってしまうけど。

Wikipedia「モンカタバミ」より

 ブログのネタ埋めのために[4]最近続けて見かけて気になっていた「クローバー」の正体について書いてみた。検索して出てきたクローバーのイラストが予想以上に右も左もハート型だったのでみんな間違ってんじゃんとちょっと安心したけれど、カタバミもかわいいので私は好きです。


[1]: なんかグルコサミンの商品に効果がないって機能性表示食品認定を取り下げられてたというイメージが強い

[2]: ももいろクローバーZ もロゴがハート型であることから ももいろカタバミZ じゃん、とツッコミが入ったというエピソードがあるそうな

[3]: 品種によってはハート上部の切れ込みが浅く模様もそれっぽい、かなりシロツメクサに似たものもあるようだ

[4]: 正直、普段ならTwitterで呟いて終わりなネタだったが前回のBlog投稿からまた時間が空いてしまった(本Blogは約隔週投稿を目標としている)ので膨らませて記事にしてみた

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